【~小熊秀雄の章~試論集『十三人の詩徒』(七月堂)より⑩】
一昨日参加した詩のイベント、詩人の聲では、
試論集『十三人の詩徒』(七月堂)に取り上げた
13人の詩人たちの詩を朗読しました。
今日ご紹介する小熊秀雄作品の中では、
「馬車の出発の歌」をお届けしました。
ラジオのアーカイブでも聞くことができます。
日本語の豊かさ、ことばの光を感じて頂けたらうれしいです。
本日も、詩人たちの「ひとひらの姿」をご紹介します。
▶小熊秀雄(おぐま ひでお/1901~1940)
北海道小樽市生まれ。 39歳で逝去。
短い生涯の内に生れた多彩な作品の群れに触れると、
次々と変身することばの立ち姿に驚かされます。
生前刊行された詩集は、『小熊秀雄詩集』、長編叙事詩集『飛ぶ橇』の二冊のみですが、
その表現方法は、抒情詩、諷刺詩、叙事詩、絵画論、評論、小説、童話、絵画やデッサンなど、多岐にわたりました。
そのあふれくることばの熱は、疾風のごとく読み手の内奥に飛び込んできます。
海に囲まれた島国で
私は三十五年間
現実と和睦してこなかつた
(「人生の雑種として」)
プロレタリア詩人としての印象を強く持つ小熊ですが、
童話や漫画台本など、 独特のSF的な発想やユーモアを携えた
少年らしい明るさを持つ作品には、
想像の翼を自由に広げようとする呼吸が感じられます。
1
これから 市街を御案内いたしませ
う
ここの街は なんとういふのです
2
火星の首都です ミルチス・マヂョ
ル市というふのです
※引用作品は、小熊秀雄『小熊秀雄全集 全5巻』(1990年・創樹社)より
(写真:10. 小熊秀雄『小熊秀雄全集』(1990年・創樹社)第1巻より)
死の直前に旭太郎名義で書かれた漫画台本『火星探険』には、
人間存在の自由と解放を象徴する雄大な理想の運河が描かれています。
▶次回は多田智満子をご紹介します。
▶試論集『十三人の詩徒』(七月堂)
9月11日より、七月堂古書部で店頭販売が始まりました。
また、HPよりオンラインでご購入頂けます。
▶七月堂HP『十三人の詩徒』ご紹介&販売ページ
新しい読者との出会いを待っています!
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