風のイメージに満ちる、堀辰雄。


作家、堀辰雄。


堀辰雄の名前は、宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」(2013)で、広く話題になりました。

辰雄には、同名の小説があり、その物語に着想を得て、つくられたそうです。


小説「風立ちぬ」、どんな小説かといえば、

「私」と婚約者「節子」の愛の物語。


美しい自然に囲まれた高原の風景の中、結核に冒されている婚約者につきそう「私」が、

愛する者の死を見つめながら、限られた日々を共に生きる、深い読後感を残す小説です。


堀 辰雄は、東京に生まれ、昭和初期に活躍しました。

日本的な私小説の流れとはことなり、フランス文学の影響を受けて、小説世界を構築していた異色の作家です。


子どものころは数学大好き少年で、13歳ころ、数学者を目指していたそうですよ。


17歳ごろから、フランス象徴派の詩人が好きになり、やがて、数学少年から文学へ移り変わっていきました。

ショウペンハウエル、ニーチェなどの哲学書に親しみました。


日本の詩人で影響を受けたのは、萩原朔太郎、そして、尊敬していたのは、芥川龍之介。


龍之介が、自殺で亡くなった時に、激しいショックを受け、龍之介の全集の編集に携わりますが、体調を崩してしまいます。

その静養をかねて、軽井沢へいくようになり、その土地での執筆が大切なひとときとなりました。


高原という場所で自分の世界を孤高に守って書いた、辰雄。

どこか一陣の「風」のイメージがあります。


調布FMラジオ「神泉薫のことばの扉」放送分アーカイブにて、辰雄の詩「僕は」、ぜひ聴いてみてくださいね!



詩人・作家 神泉 薫(Kaoru Shinsen)のブログ ~言の華~

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