野ばらを花開かせるために。
童話作家、小川未明。優れた作品をたくさん書いています。
なかでも、「野ばら」というお話、ご存知ですか?
隣り合う、大きな国と小さな国の国境にある、石碑を守るために派遣された、老人の兵士と青年の兵士。
国境には、美しい一株の野ばらが咲いています。
日々、野ばらを見つめ、あいさつを交わし、顔を合わせるうちに、二人は打ち解け、仲良くなっていきます。
けれど、ある日、二つの国の間に戦争が起こります。仲良く暮らしていた二人が、突然、敵、味方の間柄になってしまうのです。
個の関係を超えた、大きな事象が人と人との関係を壊してしまうこと、いつ私たちにも、そんな瞬間が訪れるかわかりません。
美しく咲いていた野ばらは、青年の死を象徴するように枯れてしまいます。
咲き誇る野ばらは、おだやかな平和をかたどって咲き、二人を暖かく包んでいたのです。
平和とは何か、考える糸口を与えてくれる、小川未明の「野ばら」。
調布FMラジオ「神泉薫のことばの扉」2017.12.9放送分アーカイブにて、聴いてみませんか?
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