珈琲の香り漂う、詩人、木下杢太郎。


詩人、木下 杢太郎(きのした もくたろう)の作品をお読みになったことはありますか?


杢太郎は、1885年、静岡県生まれ。

詩人の肩書き以外にも、劇作家、翻訳家、美術史・切支丹史研究家としても、多くの著作を残しました。

作風は、浪漫派でエキゾチック。
きっと、とてもダンディな人だったと思います。

そして、皮膚科の医学者としての顔も持っていたのですよ。

文学者と医者の顔を持っていたといえば、

あの森鴎外を思い起こしますが、

実は、とても鴎外を尊敬していました。


鴎外とは、作家、上田敏の外遊送別会で始めて出会いました。

鴎外宅で開かれていた歌会、観潮楼歌会という、文学サロンのような集まりにも、出席するようになり、親交を深めたようです。

杢太郎が書く鴎外の思い出を読むと、
鴎外は、会うたびに、いつも新しい話をしたそうで、一度も同じ話をしたことがないのだとか。

好奇心旺盛、勉強熱心な鴎外の姿が目に浮かびます。

憧れを寄せた杢太郎は、鴎外研究にも名を残しています。

執筆と医学研究にまい進した杢太郎ですが、

晩年、亡くなる前の2年間ほどの間に書いた植物画が、とても美しいのです。


『百華譜百選』(岩波文庫)に見ることができます。

杢太郎は、実は画家志望だったのです。
家族に反対されて医学の道に進んだのですが、絵を描くことは、杢太郎のこころの安らぎだったようです。

調布FMラジオ「神泉薫のことばの扉」放送分アーカイブにて、杢太郎の詩、「あまくさ」「珈琲」の朗読、杢太郎の人生についてお話ししています。

良かったら、聴いてみてくださいね!




詩人・作家 神泉 薫(Kaoru Shinsen)のブログ ~言の華~

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