作家、永井荷風のそぞろあるき。
フランスの天才詩人、アルチュール・ランボーの詩、青春を詠う清冽な詩は、とても魅力的です。
ランボーの代名詞とも言える詩、「永遠」は、中原中也訳で「神泉薫のことばの扉」(2017/10/4放送分)にて、お届けしたことがありますが、ランボーの詩の翻訳は、堀口大学、小林秀雄、金子光晴、粟津則雄など、多くの作家が手掛けています。
「濹東綺譚(ぼくとうきたん)」という小説でよく知られる、作家、永井荷風も、いくつかの詩を訳しており、中也訳に比べると少し大人っぽい雰囲気。
ちなみに、永井 荷風の著作には、フランス詩の翻訳集『珊瑚集』もあり、語学の才にもあふれていました。
また、荷風の著作でとても面白いのは、日記です。
1917年から1959年まで、40年以上にわたって書かれ、亡くなる前日まで書いているのです。
『断腸亭日乗』という日記タイトルは、腸に持病があるという理由で、断腸亭、断腸亭詩人と自らを称した理由から、つけられたそう。
漢文調の文体で、天候、食事、読書記録、来訪者、出版社の契約書、世相などなど、内容は多岐にわたります。
中でも、興味深いのは、付き合った女性について、箇条書きで記録しているのです。
華やかな女性遍歴が、淡々と書かれ、そこはかとなく艶っぽい。
孤高の変わり者で、ひとり身を謳歌した荷風。
大黒屋のかつ丼が好きで、浅草によく出かけていました。
そして、大の散歩好き。荷風の文章は、歩行のリズムに満ちあふれています。
荷風訳のランボーの詩「そぞろあるき」と荷風の人生について語る、「神泉薫のことばの扉」放送分アーカイブ、ぜひ聴いてみてくださいね。
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