GALERIE Malle「鳥トリ展」によせて・クリスタルボウル演奏と詩の朗読を終えて

 

 先日25日(土)、恵比寿のGALERIE Malleにて開催されたイベント、イラストレーター・画家の三溝美知子さんのクリスタルボウル演奏に合わせての詩の朗読、30分という短い時間でしたが、和やかな雰囲気で、とても楽しいひとときでした。


 三溝さんとは、2014年春に出版された赤ちゃん絵本『ふわふわ ふー』(こどものとも 0.1.2.)でご一緒してからのご縁、創作の事、生き方の事、いろいろなことが話せる大切な友であり、心強い仕事仲間です。


 当日のインスピレーションで行ったコラボレーションでしたが、ふんわりと時空か変わってゆくような不思議な感覚に誘われました。鳥たちが自由に飛び、はばたいてゆくような、そんな夢幻を見たような気がします。


 5人の個性豊かなアーティストの方々、三溝美知子さん、杉谷知子さん、中津川ゆうこさん、まるやまあさみさん、三村晴子さん、それぞれの創作された鳥のイメージをヒントに、一章ずつ、ひとりひとりに寄せて書いた詩、空間に、ことばの羽が舞うように、読みました。



八月の庭  鳥トリ展によせて



いま

香ばしい夏のひかりを帯びた

八月の庭へと

いろ とりどりの いろ あざやかな 

つばさを持つ 鳥たちが 舞い降りる


どんな はねをひろげ

どんな くちばしを たずさえているのか


ひめやかな とうめいな音符を 胸に刻む 

うつくしい鳥よ

羽に 散りばめられた 星の光を 

人々の夜をこえて 届けようと

水色の 閉じた羽の 

一枚一枚に願いを込めて はばたく 

その瞬間を待っている

いくつもの 虹色の環をつないで 

空に描く いのちの花

その鳥は やわらかな 宇宙の花園へと 

私たちを導いてゆく


導かれて たどり着いた 宇宙の花園 

つないだ手の上 佇む鳥は 

まっ白な紙から生まれいずる 奇跡の鳥

くりりと かがやく目を 青空へ向ける

赤 だいだい 黄 ももいろ 草の匂い

にぎやかな 祝福の花々をまとった鳥は

頭上で花開く 花冠を 私たちへ捧げ 

軽やかに さえずる


祝福の さえずりの向こう 

灼熱の 乾いた風に乗って  

異国の街 聖なる人の名と共に育まれた 

緑の羽持つ 優しい鳥よ

思い切り広げた ふたつの羽は 伸びやかに 

情熱の赤いかしらを 堂々と掲げて 

ぐんぐん ぐんぐん 飛んでゆく

どこへ行こうと どこへたどり着こうと

私たちは 自由 

たくさんの 夢の卵を温めて 

もう一つの飛翔を こころざす


夢の卵から 飛び出してゆく

ユーモラスな足取り 斬新な軌跡を描く 

首の長い鳥

ときに 鳥にとって 

飛ぶことが すべてではない

地上を楽し気に歩む翼だって 必要なんだ

私たちに寄り添い 私たちと視線を合わせ 

ともに空を夢見る 夢見鳥

歩行のリズムで ゆっくりと 一針 一針 

縫い合わされてゆく

かけがえのない夢のタペストリーを 

広げてゆく 


広げられた 夢のタペストリー 

そこには ゆめまぼろしの 不思議な物語が 息づいている

フェアリーと化した鳥が誘うページをめくれば

スカートを翻す永遠の少女や 

すばしっこい動物たちが 

奇想天外な未知なる穴へと 私たちを 誘う

たちまち 覚めない魔法をかけられた 

私たち 

ほら 知らぬ間に 私たちの背に 

かがやく羽が 芽生え始める 


香ばしい夏のひかりから 

手渡される 新鮮な秋

季節の風が すり抜けて


それぞれの 羽

それぞれの くちばし

まあたらしい創造という名の 

思い思いの鳥たちの饗宴は 

見知らぬ明日へと導く 

夏の思い出をトランクにつめて

新しい色と 線と 音を見出す旅へと

出発する

ふたたび あたたかな 

さえずりを交わし合う その日まで  

扉の向こうへと

はばたいてゆく



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