火星に夢をはせる、啄木。
石川啄木の短歌。ふとくちびるに上ってくるものは、
はたらけど はたらけど猶わが生活
楽にならざり ぢっと手を見る
ふるさとの なまりなつかし 停車場の
人ごみの中に そを聴きに行く
じんと染み入る、哀しみと貧しさが、ふと脳裏をよぎる、そんなイメージが強くあると思います。
けれど、啄木は、短歌だけではなく、詩も書いています。
教科書で知る啄木のイメージを裏切るファンタジックな散文詩「火星の芝居」は、実在の夢をモチーフに書いた作品です。物語性豊かな詩の世界は、これが啄木?と、新鮮な驚きを感じることと思います。
啄木には、空想壁があったようで、しばし、宇宙へまなざしを向けて、みなぎる創造の翼を広げていたのかもしれません。生活感に満ちた短歌も、実はフィクショナルな演出?があったとも考えられますね。
調布FMラジオ「神泉薫のことばの扉」2018.1.27放送分アーカイブにて、啄木の「火星の芝居」、ぜひ聴いてみてください。啄木の印象が、がらりと変わるかもしれませんよ!
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